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あるセッション(2)

心に残った過去のセッションについて書いてみます。
クライアントさん自身や状況設定はプライバシー保護のため、変更しています。




カードを使ってセッションを行う場合でも、「あたる/あたらない」が意識される占いとの差別化として意識していることのひとつは、クライアントさんが自分自身の心の状態や思考パターンに気づくような進め方をすることです。


カードなど占術を表面に出すセッションのいい点として(逆に悪い点にもなることもあるかもしれませんが)、より気軽に相談ができるという点があると思います。「自分は人に相談することなど特にない」と思っている人が、ほとんどひやかしかしゃれのつもりで受けたセッションで、自分思考パターンや行動パターンに気づくことがあります。


このケースもそのひとつです。


ある方の付き添いでやってきたこのクライアントさんは、自分には特に悩みなどないとおっしゃっていました。
一緒にいらっしゃったご友人のすすめで、「じゃあ、試しに少しだけ」ということでカードのセッションを行いました。


会社を経営されている50歳前後のその男性は、「特に何もないんだけどね。しいて言えば、ある部下とぎくしゃくしているかな。」とおっしゃいました。「大事なプロジェクトのキーマンなので飲みに誘ったりして、コミュニケーションはとるようにしてるんだけどね。」


「では、その方との関係性についてやりましょうか?」と尋ねると同意されましたので、カードを5枚引いてもらいました。


カードに出ていたのは、クライアントさんご本人が、その部下の方についてダブルシグナル(※)を出しているため、その部下の方が混乱してしまっている、という内容でした。


「その部下の方に、どうせ解ってもらえないという気持ちをお持ちではないですか?」と尋ねると「そうだよ。」とあっさり同意されました。


「部下の方、混乱されているようですよ。解ってもらえないって思いながら、コミュニケーションされてますから。」
そう言うと2-3秒意味が解らない、という感じで無言でいらっしゃいましたが、次の瞬間、はっとした表情になり「ありがとう!」と深々と頭を下げられました。



※ダブルシグナルというのは、例えば、「はい」と返事をしながら首を横に振る等、自分が意識してとっている行動と異なるメッセージ(動作、声のトーン、etc)を相手にだしてしまうことです。


この方の場合、飲みに誘うなど部下との心理的距離を縮める行動を意識的にとりつつ、自分で意識していない部分(表情、話し方など)で部下に対する心的態度(どうせ解ってもらえないという距離感)が伝わってしまっていたと考えられます。部下にしてみれば、近づいていいのか、悪いのかよく解らなくなってしまう訳です。







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テーマ : こころ
ジャンル : 心と身体

あるセッション

■あるセッション


心に残った過去のセッションについて書いてみます。クライアントさん自身や状況設定はプライバシー保護のため、変更しています。



その日、時々いらっしゃるクライアントのひとり、Aさんがご友人をつれていらっしゃいました。
その方は就職活動がうまくいかず落ちこんでしまっていたそうで、このままでは鬱か引きこもりになってしまうのでは?と心配したAさんが一緒につれてきてくれたのです。


その方は20代前半と思われる男性で、訳が分からずつれてこられたようでした(多分連れて行かれる先について詳しい説明はなかったと思われる)。一言も話さず、無表情な感じで座っていました。


状況的に「じゃあ、今日はどうしましょうか?」と言うような訳にもいきませんでしたので、ライダー版のタロットカードを出し、「こちらから話ますから、つまらなかったり、やめたくなったら教えてくださいね。」と伝え、裏返して扇状に広げたカードから一枚づつ抜き取り、抜き取ったカードの象徴するものやそのストーリーを話しました。


「自分に関係あるカードが出ますから。」そう言って、15-20分ほどでしょうか、ひたすら抜き取ったカードについて話し続けました。カードを凝視し、集中して話を聞いているようにも見えましたが、相変わらず表情は堅く、無言のまま。「まだ大丈夫?つまらなくないですか?」と聞くとうなずいて返事はしてくれましたので、「今度は自分で引いてみませんか?」と促し、カードをまとめて再度シャッフルして裏返しに広げました。


一枚づつカードを引いてもらい、再びそのカードについて同様に象徴するものやストーリーを語り続けました。しばらく続けたあと、「飽きませんか?大丈夫ですか?」と尋ねると、はじめて「面白いです。」と言葉で返事をしてくれました。


反応が出てきたので、もう少しインタラクティブにしてみても大丈夫かな、と思い、最後の30分ほどは徐々に通常のリーディングに近いインタラクティブなカードセラピーに誘導していきました。


延長も含み、1時間半ほどのセッションになりましたが、最終的には表情が出てきたり、少しですが話をしてくれるようになりました。


後日、その方をおつれくださったAさんより、その方と一緒にまた遊びに出かけるようになったとの連絡がありました。


彼の場合、たった一回のセッションより、彼の状況を心配してくれるAさんのようなよい友人に恵まれたことが一番大きいと思いますが、あの時のセッションが予防的メンタルケアという感じで、小さな助けになっていたらうれしいなぁと思っています。







テーマ : セラピー&ヒーリング
ジャンル : 心と身体

Tarot de Paris

ハワイ在住の Philip Thomas氏によって作成されたタロットデッキです。従来のTarotカードでは、通常読み手が一方的にカードが表す内容を読むのに対し、Tarot De Parisでは、クライアントがセッションの進行に関わっていくことが重要視されています。また、未来を知ることより、「今」の状況を知ること、「今」に向きあうことを重要視します。

私の経験ですが、Tarot De Parisは感情的な部分を扱うのに優れていると感じます。ライダー版などより、クライアントの方にセッションに関わっていただくことが容易です。

サイズが大きく、クライアントさんには「大きいカード」とそのまま呼ばれています(笑)。
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作者のPhilipさんは、通常タロットカードについて回るオカルト的なイメージや神秘的な面をあまり強調しません。自らRenaissance man(ルネサンス マン)を志しているというPhilipさんは、クライアントが神秘的な力やオカルトに頼ることより、人間性や人が自分で自分の人生を選び切り開いていく力を重要視していると理解しています。

ルネサンス:14-16世紀頃にイタリアで始まった文化的な革新運動で「再生」を意味します。それまでのキリスト教的世界観に対して、人間性の尊重や人道主義という考え方が広まりました。

Tarot De Paris の著作権はPhilip Thomas氏に帰属しています。ホームページ上の記事、写真、図表などを無断で転載することは「著作権法違反」になります。


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プロフィール

Key(ケイ)

Author:Key(ケイ)
認定心理カウンセラー
認定アストロカウンセラー
認定Tarot de Paris ファシリテーター
認定バッチフラワーレメディ プラクティショナー

「占いの窓」で、占い、カウンセリングを行なっています。

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